講座「狼森と笊森、盗森」を読む、レポート~はねずさん編~
こんにちは。
お久しぶりです。皆さん素敵な読書ライフを送っておられるでしょうか。
私はというとバスケ(観戦のほう)にはまってしまい、ゴミ箱にティッシュを投げるときも、洗濯かごに靴下を投げるときも、おっバンクで入った、今のスクープショット良かったな、今日はフローターが入らん、とかぶつぶつ言っている始末……
という話はさておき、ほんとさておき。
ポラン堂古書店は変わらずの盛況っぷり、イベントも盛沢山でございます。
今回の記事に関わりますのは、オープン初年度に開催した賢治講座の好評もあり、今年、今まっさかりで夙川公民館にて開催中の講座「宮沢賢治の童話を読む」、です。
「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」などの有名作をはじめ、「烏の北斗七星」「鹿踊りのはじまり」など宮沢賢治の生前唯一の童話集『注文の多い料理店』収録作を、我らがポラン堂店主が全6回、各90分で語る講座です。詳しくはポラン堂古書店の公式Xなどをご参照ください。
今年の講座には都合が合わず赴けていない私ですが、ポラン堂古書店サポーターズの一人、はねずあかねさんが受付のお手伝いに行くというので、これはもう、レポートをぜひとお願いしてしまいました。忙しい中、ありがとう。
ということで前置きは長くなりましたが、表題にありますように、5/20に催されておりました第3回「狼森と笊森、盗森」を読む、のはねずさんレポートでございます。
「狼森と笊森、盗森」……皆さん読み方はご存知でしょうか。先生(ポラン堂店主)の講座ファンとしては、何かとよく登場するタイトルなので、すっと読めたりします。ちょっと自慢です。「おいのもりとざるもり、ぬすともり」、初見で読むのは不可能なはず。
それでは、ここからははねずさんへ丸投げです。よろしくお願いします。
皆さん、こんにちは。
近頃はすっかり初夏といった模様でしょうか、でも夜になると涼しくて服装の難しい季節ですね。
5月20日、夙川公民館で行われた「宮沢賢治の童話を読む」第3回に行ってまいりました。今回の講座では、受付をするという重大任務を仰せつかったので、事前にポラン堂古書店へ寄ってから参加となりました。当日ご参加だった方、拙い受付だったかもしれませんが、優しく見守っていただきありがとうございました。
今回の講座ですが、実は一つ衝撃の発見がありまして……というのも、こちらの講座「宮沢賢治の童話を読む」というタイトルの講座なのですが、この「読む」の部分で店主である先生や私、参加される方と解釈違いが起きていたということがありました。
先生や私のような、文学系の学問を通った人間からすると「〇〇を読む」と言われると、「○○を解釈する」という認識なのですが、講座にお申込みいただいた一部の方より、「これは朗読会ですか?」と先生がお尋ねを受けたそうです。
私は先生に後からこの話を聞いたのですが、確かに! と衝撃を受けました。「読む」と言われるとそういう解釈もできるなあ……といったところですが、今回は「解釈する」方の「読む」ということで、よろしくお願いします。
第1回から講座を開催し、どの講座も満員御礼定員オーバーと聞いていたのですが、今回も同様でした。たくさんの方に来ていただけて私も嬉しいです。
第3回講座で取り上げるのは「狼森と笊森、盗森」という作品です。
「解釈する」ということなので、宮沢賢治の生い立ちなどに絡めて作品を紐解いていくのですが、今回の講座では、特に宮沢賢治が地質学者であったという点に重きをおいて解釈してみましょうということで始まりました。
宮沢賢治はそれはもう大変石のことが好きだったそうで、花巻に宮沢賢治にハンマーでコンコンと叩かれなかった石はないというほどだったそうです。
今回先生が地質学者ということに重きをおいて読み解いていきましょうとしたのは、「狼森と笊森、盗森」という作品が「岩が語っている」という設定、岩から聞いた話ということに起因します。
この作品、森に新たな生活圏を求めてやってきた人間たちと森の関わりを岩が語るというものなのですが、それぞれの森が住みにやってきた人間から何かを奪っては返すという繰り返しの物語になっています。ただ森のほうにも奪う理由があって、その理由というのが人間たちがどんどんと生活圏を広げていくことでした。つまり、人間のほうも森から木を伐採したり、木の実を持っていったりしているわけです。
先生はもっともっと色々とお話ししてくださったのですが、私が全てを語りきれるはずもなく……また機会がございましたら是非、ご参加ください。
講座はこのような話を例えば宮沢賢治の他の作品との関連性から見てみたり、当時の時代背景から見てみたりと、色々な角度から紐解いていくものとなっていました。実際にモデルになったであろう森の写真が投影されていたのも面白かったポイントです。
今回の講座で私が特に興味深く感じたのは、宮沢賢治が地質学者故に時間の感覚が〇万年という単位であるというところでした。確かに今回の「狼森と笊森、盗森」という作品も、冒頭で岩手山が噴火して落ちてきた岩が話しているということだったので、10年そこらではない時間の経過が表現されています。物語を書くとなったときに、この長い時間の感覚はそう簡単に持てないものだろうなと感じました。
無事に講座も終わり、最後は参加者の皆様のアンケートを回収しつつ受付という大役を終えました。お帰りになられる皆さんが、今回の講座を受けて楽しかった、興味深かったといった様子が伺えて、私も嬉しかったです。
もちろん私自身も楽しく講座を拝聴しました。先生、90分講座本当にお疲れ様でした。
はねずさん、素敵なレポートをありがとうございました。
「狼森と笊森、盗森」、自然と人間の物語でありながらよく見られる対立はなく、優しく可愛らしい短編なんですけども、はねずさんのレポートにもありますように、時代やそれぞれの命の営みなどの規模感がすとんと胸に落ちるところもあり、なかなか深い作品です。最後が少し寂しいのも良いんですよね。
ふとした合間に読書、ふとした合間に講座、久々にこのブログの記事を書きながら豊かさを与えてくれるものって良いなあと、漠然と思いました。
みなさんも、お時間がございましたら、ポラン堂古書店や賢治講座、空いた隙間に青空文庫でも読める宮沢賢治童話、どれもおすすめですのでぜひ。
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